【抜歯した後はどうなるの?】
◆抜歯後の選択肢
抜歯後の選択肢は主に以下の4つに分かれます。
①そのまま(親知らずや、矯正などで行う便宜抜歯の場合)
②ブリッジ(前後の歯を削って連続したかぶせ物を固定します。取り外しはできません)
③入れ歯(歯肉を模した材料の上に人工歯がついており、自分で取り外しできます)
④インプラント(歯を抜いた場所の歯槽骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付けます)
ここでは特に質問が多いインプラントについて詳しく解説していきます。
◆インプラントって?
歯科でのチタンを用いたインプラントは日本で1983年から取り入れられており、すでに50年近くもの歴史があります。
歯の根の代わりとしてインプラント本体を顎の骨に埋め込み、人工歯をかぶせることで天然歯に近い強度と美しさを備えた新たな歯をつくります。
インプラント本体は、整形外科の人工関節や脳神経外科の頭蓋骨の代用に使われるアレルギーが起きにくいチタンで作られており、人体に優しく安全です。
骨としっかりとくっつくので、しっかり噛むことができます。
◆メリット
天然歯と同じようにしっかりと噛むことができる
インプラントは失った歯の根の代わりとして歯槽骨に直接埋め込み、それを土台として人工歯を取り付けるため、天然の歯と同じような感覚でしっかりと噛むことができます。
強い力がかかっても耐えられます。
虫歯にならない
インプラントは虫歯になりません。歯はダメになることはあってもインプラントの方が長持ちします。
自然で美しい口元になる
保険診療でブリッジや入れ歯を入れた場合、銀歯になったり入れ歯の金具が見えたりと見た目があまり美しくありません。
インプラントの場合は、セラミックなど丈夫な白い歯をかぶせることが多いため自然で美しい口元になります。
取り外しの必要がないため、セルフケアも天然歯と同じようにできる
インプラントのお手入れ方法は、基本的には天然歯と同じです。インプラントだからといって特別に気をつけることはありません。
歯ブラシや歯間ブラシを用いて汚れがたまらないようにしてあげてください。
残った健康な歯への負担がかからない
インプラントの1番のメリットは健康な歯への影響を与えないことです。お口の中をお神輿に例えてください。インプラントはお相撲さんのように力持ちなので残っている
歯への負担が少なくなります。入れ歯やブリッジは残っている歯への負担が大きく長い目で見ると悪くなり抜歯になることがあります。
ブリッジや入れ歯を選択した場合、残っている歯を削ったり金具をひっかけたり、他の歯に負担をかけてしまいます。
インプラントでは基本的に周りの歯を支えにせずに治療が可能なため、残っている健康な歯に負担をかけずに済みます。
◆インプラントの注意点
治療期間が比較的長い
ブリッジや入れ歯は概ね数週間で治療が完了するのに対し、インプラントでは数ヶ月程度の時間を要します。ただし最近のインプラントは進歩しどんどん治療期間が短く
なっています。症例によってはインプラント埋入後その日に仮歯が入ることも可能です。
手術自体は30分から1時間ほどで終わることが多いですが、インプラント体が歯槽骨と結合するのを待つ時間が必要になるため全体の治療期間が長くなるのです。
場合によっては仮歯や入れ歯を入れることもあります。当院では100パーセントサージカルガイド(あらかじめ計画したところに埋入できるように作製した器具)
を用いていますので患者さんの負担軽減になっています。患者さんから思ったより時間も短く、楽で痛みもはほとんどなかったと嬉しい言葉をいただいています。
治療費が比較的高額になる
インプラント治療には健康保険が適用されず、全額自費での診療になります。歯の価値観は患者さんによって違うと思いますが、残存数が多い人ほど年間の医療費や
介護費用が少ないということが証明されています。
治療費が高額になることが多いですが、医療費控除の対象になるため申請すれば税金の一部が還付されます。私は長い目で見ると決して後悔しない選択だと思います。
歯周病になる
あまりイメージが湧かないかもしれませんが、インプラントも歯周病になります。
日々のメンテナンスを怠りプラークが付着したままになっていると、インプラント周囲炎を生じることもあります。
インプラントは一度入れたらそれで一生もつものではありません。
インプラント治療が完了したあとも、お家でのセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
治療できない場合もある
骨の状態や、全身疾患などによっては手術ができない場合もあります。
当院では患者さんの負担軽減や手術時間の短縮、最小限の介入でかつ安全であることを第一にインプラント治療を行っています。
インプラントについて質問などありましたらお気軽に、スタッフ、院長までお問い合わせください。
院長 寺村 薫
2023年06月29日 11:26